お客様の声

おかげさまで多くのお客様にmoopadをご愛用いただいております。

繁殖管理についてはずっと紙の台帳でやってきましたが、システム化ということは以前から頭にあり、色々調べていたところ紹介もありmoopadを導入しました。
使い始めるまでの最初の母牛データの入力もPCをつかってすぐにできて、簡単に利用できるようになりました。
今は、3名いる研修生ともmoopadを使ってデータが共有できてとても便利になっています。

冨貴茶園

(大分県豊後高田市)

NCC畜産ニュース第3号(2)2018年10月11日

周年親子放牧「永松方式」の拡がり

ノウハウの継承とITの役割

議論の中心にタブレットを置いて

冨貴茶園には14ヘクタールの広大な茶畑がある。一方、繁殖黒毛和牛の放牧場も同様の規模があり、ここでは親子放牧による肉用牛の繁殖が行われている。
永松英治さんが大分で始めた放牧による肉牛の繁殖は「永松方式」と呼ばれている。放牧のコストが安くストレスのない健康な牛が育つこの方式は広く知られるようになり、多くの人がここを訪れる。これを広めて行くことが多くの人に望まれており、永松さんの持つノウハウを理論としてまとめてゆく必要がある。そのためのITの役割についてお話を伺った。

冨貴茶園の茶畑と繁殖黒毛和牛の放牧場

大分県豊後高田市の富貴寺は国宝の大堂で有名だが、その近くに今回訪れる冨貴茶園がある。
お茶の栽培、加工、販売を行っている冨貴茶園には、14ヘクタールの広大な茶畑があり、機械化を進めていることでも知られている。
しかし今回はお茶の話ではない。ここでは新たな放牧飼養形態(周年親子放牧)による肉牛の繁殖も行っているのだ。
永松さんが繁殖農家を始めた12年前当時、この地域では肥育農家が多く、繁殖農家はあまり多くなかった。

どうして茶園で牛を飼っているのだろうか。きっかけは13年ほど前に県のレンタルカウ制度を勧められたことだという。この制度は牛を使って遊休地や荒地の除草を行うために県が牛を貸し出すものだ。
3頭の牛を放して1年経ってみると、牛は草を食べて元気に育ち、子牛まで生んでいた。社長の永松英治さんはそれまで一度も牛を飼ったことはなかったが、この結果でビジネスとして放牧で牛を飼ってみたくなったという。それも子牛を産ませる繁殖農家だ。

既成概念を覆した放牧による繁殖

当時、繁殖農家を放牧でやるところはなかった。放牧では子牛が大きくならない、必ず失敗すると随分言われたそうだ。それでも頑固に放牧にこだわったのは、茶園も手間がかかるが放牧ならできると考えたのだという。
牛には素人の永松さんだったがビジネスの勘のようなものがあったのではないかと思う。

試しに牛を2頭買ってきて放牧したところ、生まれた子牛は元気に育って出荷できた。これで手応えを感じた。
放牧のメリットはまずコスト。餌代も人件費も安い。さらに重要なのはストレスのない健康な牛が育つということだ。繋いで牛を飼えば堆肥の処理などもあるが、それも必要ない。自然分娩がほとんどで介助することも少ないという。無論いいことづくめではないだろうが、メリットが多い。
繁殖農家での放牧は珍しいだけに今までなかったノウハウを貯めていかないといけない。そうやって少しずつ牛を増やして現在は母牛が37頭いる。

「永松方式」のノウハウ

 

冨貴茶園・永松英治さん

永松さんが大分で始めた周年親子放牧による肉牛の繁殖は「永松方式」と呼ばれている。この成功を見て、同じように放牧に挑戦する人が増えてきた。
しかし全ての人が成功するわけではないという。永松さんはそれを「センスのようなもの」があるのだという。
センスというと最初から備わっているもののように聞こえてしまうが、おそらくそれは牛を観察し問題があれば対応することを積み重ねて作り上げたノウハウであり、それを可能とした強い意志であると思う。

議論の中心にタブレット

永松方式は広く知られるようになり、多くの人がここを訪れる。この日も県の職員の方など何人かの訪問者があり、牛の育て方などについて活発な議論があった。
その様子を見ていて気がついたことがある。議論の中心にタブレットがある。

他の牧場と同じように、ここでもずっと紙の台帳でやってきたが、システム化ということは以前から頭にあり、色々調べていたところ、全国和牛登録協会大分県支部から紹介されてすぐにmoopadを導入した。
茶園の経営でも機械化して効率をあげることにこだわってきた永松さんにとっては、それは当然のことだったようだ。最初のデータ入力はPCを使ってすぐにできた。
今は3名いる研修生にもスマホを持たせており、データが共有できて便利だという。

moopadをデータ基盤に…

永松さんの元には大勢の人が訪れる

今はまだ全てのデータが電子化されているわけではなく、紙の台帳を見ながら話をすることも多い。1回目の種付けで失敗している確率は?雌牛の体が少し小さいけれど、それは血統に関係しているのだろうか?そんな話を皆がタブレットに示されるデータだけを見ながらできるようになればどんなに便利だろう。
moopadは外部からのデータアクセスを設定することも可能なので、遠隔で議論や相談を行ったり、指導することもできる。例えば研修生が自立して自分の牧場を始めたときにそのデータをmoopadに入れれば、永松さんがそれを見ながら助言することもできるだろう。
永松さんを囲んで熱心に議論する人々を眺めながら、そんなことを考えていた。

県外からここを訪れて永松方式を学ぼうとする人も多い。これを広めて行くことは地域だけでなく日本の課題であるとも言える。
そのためには永松さんの持つノウハウを理論としてまとめて行くことが重要になってくるだろう。
moopadのようなシステムが、データ基盤として永松方式の理論作りにも貢献していくのは喜ばしいことであると思う。

寄稿:中小企業診断士 北岡 正一

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